ピロリ菌検査について

ピロリ菌検査のイメージ写真

当院では、ピロリ菌(ヘリコバクタ―ピロリ)の感染の有無の診断をつけるための検査として、内視鏡(胃カメラ)を用いた検査と用いない検査をそれぞれ行っています。また胃がんに罹患しやすいタイプかどうかを判定するABC検査につきましても実施しております。なお当院は、世田谷区が実施する胃がんリスク(ABC)検査の協力医療機関でもあります。

内視鏡を用いたヘリコバクター・ピロリ検査法

上部消化管内視鏡(胃カメラ)で、組織の一部を採取します(生検)。その後の検査方法として3種類あります。当院は、その中でも迅速で簡便とされる迅速ウレアーゼ試験を主に行っています。結果については、30分~2時間程度で判明します。

迅速ウレアーゼ試験
ヘリコバクタ―ピロリは、ウレアーゼと呼ばれる酵素を産生させます。この特徴を利用した検査です。流れとしては、試薬(尿素とpH指示薬が混入されたもの)が入った容器に採取した組織を入れます。その後、黄色だった溶液が赤色に変化すると陽性と判定されます。
鏡検法
採取した胃粘膜の一部を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の有無を確認します。
培養法
生検で採取した組織をすりつぶした状態にして、菌が増殖しやすい環境下で培養していく検査法です(期間は5~7日)。判定結果がでるまでに1週間程度の期間が必要です。

内視鏡を使用しないヘリコバクター・ピロリ検査法

内視鏡を使わない、いわゆる非侵襲的な検査も主に3種類あります。

尿素呼気試験(UBT)
検査にあたって検査薬(13C-尿素)を服用します。ピロリ菌感染者であれば、ウレアーゼと呼ばれる酵素によって、アンモニアと二酸化炭素に分解されます。すると呼気中に13CO2が多く検出されるようになります。検査の精度が高く、容易な方法としても知られています。
抗体測定
ピロリ菌感染者であれば、抗体が作られるわけですが、この有無を調べる検査になります。抗体は、血液中もしくは尿中に存在するので、これらを採取することで判定がつくようになります。
糞便中抗原測定
便を採取し、その中にピロリ菌の抗原が含まれているかどうかを調べる検査になります。

検査の結果、感染が確認されると速やかに除菌治療を行います。

治療等はこちら

ABC検診

胃がんリスク検診とも呼ばれるもので、血液検査になります。これは、現在胃がんに罹患しているかどうかを調べるものではなく、胃がんの原因になりやすいとされる、ピロリ菌の感染の有無や胃が委縮する程度を確認する検査となります。

同検診では2つの数値を確認します。ひとつは、ヘリコバクター・ピロリのIgG抗体価を測定するもので、10U/mL以上と判定されると将来的に胃がんを発生させるリスクが高くなるとしています。またABC検診では、血清ペプシノゲンの数値を確認します。胃がんの大きな原因として胃粘膜の萎縮があるのですが、この数値を調べることで委縮の程度がわかるようになります。結果としては、A~D群に分けられますが、B~D群はピロリ菌に感染していると言われています。そして、Bよりも病状が進んでいる場合はC、さらに進行していればDと判定されます。

なお世田谷区民の方につきましては、当年度で、40・45・50・60・70歳となる方を対象にした胃がんリスク(ABC)検査を実施しています。ちなみに同区で行う検査が受けられるのは生涯で1回のみとなっています。詳細につきましては、世田谷区の公式サイトをご覧ください。

世田谷区の「胃がんリスク(ABC)検査」